ウサギとヒナ 第五話 邪魔者

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「えっ? ここ? ここに住んでいるんですか?」

 思わず見上げてしまう高さ。これ、タワーマンションってやつだよね。 
 地下駐車場は気のせいか、高級車がたくさんとまっていて、セレブの匂いがする。
 なんとなく予想はしていたけど、部屋を見てビックリ。

「玄関広っ」

 玄関だけじゃなかった。トイレも洗面所も、浴槽も、私のワンルームとは比べられないほど広い。
 大きな窓に高い天井も開放的だし、何より飛びついたのは。

「海が見える」

 窓から見える景色。ビルの間に海が見えている。
 ちょっぴり興奮気味に振り返り、バルコニーへ出たいとお願いした。ウサギさんは「寒いぞ」と苦笑いしつつ、窓ガラスの施錠を外した。
 冷たい風が吹くバルコニー、見ると、木製の丸いテーブルと椅子が置かれている。

「ここで朝ごはん食べたり、お茶してみたい」
「いいよ。ただし、暖かくなったらな」

 確かに、今の季節は風も冷たいし、凍えて風邪ひきそう。
 下をのぞくとゾっとする高さにくらくら。見晴らしは良いが、下はのぞかないようにしよう。
 

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