ウサギとヒナ 第三話 ウサギのしっぽ

小説
Pocket

 白い皿にナッツの詰め合わせを広げてやると、さっそく正人が手を伸ばす。

「せっかく良い女を紹介してやろうとしていたのに」
「女遊びはもうやらない」
「結婚もしていないのに」
「縛られたい、縛りたいと思える相手だから」

 さらっと返すと、正人が「さぶっ」と言って、自分で自分の体を抱きしめた。
 まあ、確かに寒いよな。少し前なら絶対言わないセリフだ。それを口に出来るほど、ヒナは特別。
 こうしている今も、俺の心は大阪に飛んでいて、ヒナを気にかけているのだから。

 俺はポケットからスマホを取り出した。
 LIMEトークにはまだ既読がついていない。
 長いな、風呂かな。

「つまんないだろ。独身なんだし、自由に……って、俺の話、聞いているか?」

 俺の手からスマホが消えた。

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村