恋の時間ですよ 第9章 君の体にメロメロ

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ユキ君は私の隣へ移動、大きな手が私の手を包む。

「冗談だろ」

半笑いの彼に、真面目な顔を返す。

「本気だよ。デート代は折半。奢られてばかりじゃ気が引けるし、対等な立場でいたいもん」

それにいくら彼が社長の息子でも、社会人になって一年目だよ。そんな高給とりとは思えないし。でもそれを口にするのは避けた。

「対等って・・・」

ため息と一緒に零れた参ったなの言葉。うなじを撫で、頭を左右に振る。

「じゃあ・・・」

渋々、といった感じで人差し指を立ててきた。もちろん私の返事はNO。首を横に振った。ユキ君は自分の指を見つめている。中指がぶるぶる。

「くそっ」

二本の指が目の前に。指じゃなくて片掌を全部開かせなくては、ツンとそっぽを向く。

「舞っ」

私の頬を両手で挟み、のぞき込んでくるユキ君の目は子犬みたい。気持ちが揺らいでしまいそうだ。

「まだ早いし、電車あったよね」

「本気じゃねぇよな?」

私だって帰りたくない。けど、折れる訳にはいかない。ユキ君を引き離す。

「分かった、分かったから」

「分かってくれた?」

納得していない顔が縦にこくり、動いた。でも。

「その代わり、今回だけは男にならせて」

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