ウサギの抱き枕をベッドの上へ置いてみる。クールな部屋が、ちょっと可愛く見える。
それにしても随分大きいベッドだな。二人で寝ても余裕じゃない?
ダブルベッドって、こんなに大きかったっけ。私の部屋にこれを置いたら、ベッドの上で生活することになりそう。
ん? 一人暮らしなのに、どうしてこんな大きなベッド使っているんだろう。
そう言えば、リビングのソファも三人掛けだったし、冷蔵庫だって大きかった。
もしかして、ウサギさん……。
隣に立つ、ウサギさんの顔をチラリ。そしてもう一度ベッドへ視線を戻す。
ウサギさんは私よりずっと年上で、大人だ。過去があって当然。
分かってる、気にしても仕方ないって。だけど、別の女性とこのベッドで愛し合うウサギさんの姿が頭の中に浮かび、胸の奥がチクチク。
やだ、消えて、消えて。今の彼女は私なんだから。瞼をギュッと閉じ、妄想を振り払う。
「ヒナ?」
声を掛けられ、ハッとした。
「どうした?」
「あ、いえ。……あ、あの、こっちの扉はなんですか?」