「いきなり来るなよ」
頭に着いたテープを掴んで、男性に押し付けたウサギさんの口調は冷たい。
招かざる客といった感じか。
「誕生日の祝いに来てやったのに、もっと喜べよ」
「悪いが、取り込み中なんだ。また今度にしてくれ」
ウサギさんが扉を閉めようとする。
「今度? 誕生日は年に一度だぞ。入れないつもりか」
男性が足を入れ、扉が閉まるのを防ぐ。
「お前、分かってて、来ただろう」
「何のことだ?」
「とぼけんな。邪魔する気か」
「まさか、いやだな、裕也君。純粋に誕生日を祝いたくて来たんですよ」