ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

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 キッチンへ行き、冷蔵庫を開けた。
 果汁百パーセントのオレンジジュースに手を伸ばしかけた時、誰かが私の視界を奪った。
 目隠し、こんなことをするのは。

「ウサギさん」
「はずれ、正人君です」

 振り向くと正人さんが、にっこり笑っているではないか。

「なっ、何するんですか。う、ウサギさんは?」
「トイレに行った」

 冷蔵庫と正人さんに挟まれて、身動きが取れない。
 どいてほしいんだけど。

「あの」
「ねぇ、ヒナちゃん。俺たちもっと仲良くなった方が良いと思わない?」
「え……」

 耳元で囁くように言われ、体が硬直。

「君、ここに越して来るらしいね。俺も楽しみだよ」
「ま、正人さん」
「真っ赤になって、可愛いよな。ほんと口説きたくなる」

 神様、これはどういうことでしょうか。
 想定外の展開です。

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