ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

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「ウサギさん」

彼の顔を見た途端、ほっとして駆け寄りたくなった。

「ヒナちゃんが呼んだの?」

 私は小さく首を横に振った。

「お前の部下がメールで知らせてきたんだよ。それより、なんでヒナだけ呼び出すんだよ」

 ウサギさん、怒ってる? 内藤さんを見る目も口調もきつい。

「それは……。一応、チームのリーダーなので」
「食堂で噂になってたって話は、俺も聞いた。けど、騒ぐようなことか? 俺が誰と付き合おうが、お前らには関係ないだろ」

「社内恋愛でなければ俺だって口出ししません。社内恋愛禁止は暗黙のルールです。ケンカや別れ話がこじれると仕事に影響することもあります。過去に三角関係でもめたケースもあったし。とにかく社内恋愛は人事も含め、周囲に迷惑が掛かるんです」

「だから付き合うな、ってか?」 
「か、隠してください。幸い、ヒナちゃんはウサギさんとの関係を同僚に聞かれても、肯定も否定もしなかったし」
「あのなぁ」
「俺、分かってるんですよ。西野さんが異動したのは、ヒナちゃんを呼び寄せるためだって。仕事に私情を挟んで、権限を利用していいんですか」

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