ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

小説
Pocket

 最初は仏頂面だったウサギさんもワインで乾杯する頃には、笑顔を見せてくれるようになった。

「誕生日、おめでとう」
「おめでとうございます」
「もう喜ぶ歳でもないんだけど、やっぱ嬉しいな。ありがとう」

 二人っきりも良いけど、賑やかなのも楽しい。
 朱里さんが作ってくれたサングリアも美味しいし。

「ヒナ、飲み過ぎるなよ」
「えっ、あ、はい」
「外じゃないんだし、別にいいじゃない」
「ですよねぇ」
「だめ。ジュース取っておいで」

 ウサギさんが、私からグラスを取り上げた。
 まだほろ酔いだし、もう少しくらいなら平気なのに。

「また、いつかみたいに寝てしまうぞ」

 ウサギさんが、ニヤリと笑う。

「まあ、寝込み襲うのも楽しいかもな。起きてるときには出来ないこともやれそうだし。あんなこととか、こんなこととか」
 
 あんなこと? こんなこと? 
 どんなことーっ?
 
「ジュ、ジュースにします」

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村