ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

小説
Pocket

 自分の席へ戻ると、今度は両隣の席から視線が飛んできた。
 麻美さんと奈津江さん、お昼を誘ってくれた先輩たちだ。
 二人は同期で私より五歳年上、仕事が出来て、生産担当からも頼られている。
 私も早く、頼られる存在になりたい。

「お昼、何を食べてきたの?」
「ラーメンです」
「ラーメン?」

 声が裏返るほど、驚くこと?

「どこのラーメン?」
「会社近くの、北の星一地番って……」

 椅子ごと先輩たちが寄ってきて、挟みうち状態になった。
 二人とも、じーっと私の顔を見ている。

「あの……」

 責められているような気がして、思わず胸に手を置いた。
 何かやらかした? 焦りつつも、午前中の仕事を振り返る。
 大変な仕事はしていない。ミスするようなこともなかったはず。
 でも私が気づいていないだけなのかも。

「すみません、どこか間違えていました?」

 恐る恐る聞くと「そうじゃなくて」と麻美さんが言った。

「私たちに報告することがあるんじゃない?」

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村