ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

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 昼食から戻った私は、引き出しから歯ブラシセットを取り出した。
 フロアの奥にあるトイレをのぞくと女性社員が三人、洗面台に向かって立ち、化粧直しや歯磨きをしている。
 顔は鏡に向かったまま、視線だけがこちらへ向く。

「そう言えば、彼女も新人よね」
「そうだったわね」

 なんか、じろじろ見られているような……。

「それはないでしょう。今日、大阪から転勤してきたのよ。今日の今日で、どうやってそんな仲になるのよ」
「そうか、そうだよね。やっぱりブランド担当かな」
「それにしても気になる。誰だろう」

 誰の話なのか気にはなったが、無言で歯磨きを済ませ、そそくさとトイレを後にした。

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