ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

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 聞き間違いだろうか。

「今、なんて言いました?」
「んー、引っ越そうかなって言ったの。ほらヒナを朝の満員電車に乗せたくないし、俺の帰りも遅いから、もっと会社の近くの方がいいかなって」

 今朝も同じことを言って、ウサギさんは午後から出社なのに、わざわざ車で会社まで送ってくれた。
 大阪も電車は混んでいる。でも駅員さんがホームから乗客を押し込むことはあまりない。
 
「今でも十分、近いですよ。満員電車だってそのうちなれるだろうし、私は今のままでもいいですけど。あと明日からは一人で通勤します。送ってくれなくていいですから」
「時差出勤出来ないの?」

 真顔で何を言い出す。

「無理言わないでください。ウサギさんの出社時間に合わせられません」

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