ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

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 会社から五分くらい歩くと、チェーン展開されているラーメン店の看板が見えた。
 入り口には数名の客が並んでいる。客の回転は早く、あまり待たされずテーブル席へ案内してもらえた。

 テーブルの脇には、ネギ、紅ショウガ、ニンニクなどの薬味と、木の筒に入った使い捨ての紙おしぼりとプラスチックの箸。
 私は紙おしぼりをふたつ抜いて一つをウサギさんの前へ置いた。

 客の大半はサラリーマン。何人か会社の人がいるっぽい。というのも、ウサギさんに向かって会釈しているから、そうなのかなって。
 店内の観察をしていると、おしぼりのビニール袋を破きながらウサギさんが呟いた。

「やっぱ、引っ越そうかな」

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