ウサギとヒナ 第二話 繋がる糸

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 クロワッサンは好きだ。外はサクサク、中はふわふわ、バターをたっぷり練りこんだ生地、ほんと美味しい。
 パンくずがお皿に散らばらないよう、食べることは難しいけど。

「宇佐見さん、朝食済ませたんですか?」
「実家で」

 そうだった、大阪来たら実家に泊まるって言ってたっけ。私はミルクティーの入ったカップを手にする。

「ヒナは食べずに出てきたんだ」

 寝坊したとは言わないでおこう。

「休日は、その、食べないんです」
「ゆっくり寝たいよから?」
「はぁ、まあ、そうですね」

 あれ、バレてる?

「この前も大の字になって、爆睡してたもんな」

 ぶっ、ミルクティーが口から零れそうになり、紙ナプキンをつかんで口元を拭った。
 反論は出来ない。ウサギさんがいつ帰ったのかも知らないのだから。

「一人暮らしだろ。遅刻したことは?」
「ないですよ。平日は早寝を心がけているし、目覚ましだって三つ掛けていますから」

 指を三本立て、自慢気に返す私を見て、ウサギさんがクスクス笑う。

「三つは多いだろ」
「そうですか? 普通ですよ」

 こうしていると十年前、サイトでやり取りしていたことを思い出すなぁ。
 他人が聞いたら、どうでもいいような話ばかりだったけど、すごく楽しくて。
 なんかデートしているみたい。デート?

 

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