恋の時間ですよ 第15章 はじまり

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「他人事じゃないわよね、尾上さん」

三島さんが、にっこり笑って言う。

「な、なんでですか」

「だってユキ君、モテるもん」

「そうそう、きっと向こうでも事務員に狙われているわよ」

「だ、大丈夫ですよ。毎週、日曜日に合ってるし……。泊ってるし」

大丈夫と言いながら、だんだん声のトーンが下がっていく。

「週末は恋人と、平日は女連れ込んでよろしくやってるやつなんて、世の中いっっっぱいいるからね」

「男はチャンスがあれば、浮気をする生きものだから、不意打ちで、たまに様子見に行った方が良いよ」

と先輩たちに力説され、今日すぐにでも見に行けとまで言われた。

ユキ君に限って浮気は無い、信じている。なのに、確かめずにはいられない自分がいて。
店の片づけを大急ぎで済ませ、私は今、彼のマンションへ向かう、最終のバスに揺られている。

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