恋の時間ですよ 第15章 はじまり

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日曜日、店が終わり暖簾を下げていると、ユキ君がこっちへ向かって歩いてくるのが見えた。
えっ、ス、スーツ?

「そんなかしこまらなくても」

「何言ってんだよ、さすがに普段着はマズイだろ」

「そ、そうか」

思わず、自分の服をチェック。
汚れたエプロンは外すとして。

「トレーナーとジーパンは着替えた方がいいのかな」

「どっちでもいいよ」

「えっ、自分だけスーツって。あっ、ユキ君っ」

ユキ君は私を置いて、さっさと店内へ入って行ってしまった。
スーツなんかで来られたら、さすがにお母ちゃんも勘づくんじゃない?
私はガラス扉の外から、中の様子をそっと伺うことにした。

「こんにちは」

「あら、ユキ君。久しぶりね、もしかして仕事だったの? ネクタイなんてしめちゃって。いい男は何着ても似合うわね」

「ありがとうございます」

仕事だと思ったのか。
お母ちゃんの調子の良い声とユキ君の笑い声が、外まで聞こえている。

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