実はちょっと不安で、川本さんのこと尋ねてみたことがある。でもユキ君は「興味ねぇよ。だいたい他の女と会う時間があるんなら、舞を誘うわ」とハッキリ言ってくれた。
だから、信じようって決めた。疑いだすときりがないし。
「でもS市に異動したら、もっと忙しくなるだろうし、ますます会えなくなるんじゃない?」
「そうなんですよね」
「寂しいわね」
「寂しいです」ため息交じりに言うと。
「じゃあ、いっそ異動願い出してみる?」
三島さんの提案に私は目を丸くさせ、定食の西京焼きの鰆から箸を遠ざけた。
「異動願い?」
「S市の工場の事務員、社内募集かけるって。人事部にいる子の情報だから確かよ」
そう言って、三島さんはズルッとうどんをすすった。
私は首を小さく横に振り、苦笑い。
「異動なんて無理です。そんなこと出来るくらいなら、同棲OKしてます」
「そうだよね。S市の工場、市内から遠くて交通機関便利悪いって話だし、実家の手伝いをしている尾上さんには無理な話か」
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