恋の時間ですよ 第11章 嫉妬

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年末の商店街は、お正月準備に追われる客で賑わいをみせる。
歳末ガラガラ抽選会も列を連なって、時々派手に鳴らす鐘の音が聞こえてくる。
大晦日の三好の営業は、お昼まで。買い物ついでに立ち寄ってくれるお客さんがチラホラいるから。
大掃除は営業開始する前日で、毎年兄が率先して掃除してくれる。厨房をピカピカに磨いてくれるから、助かるんだよね。
なのでいつもの掃除を終えれば、年越しそば食べて、炬燵でぬくぬくしながら紅白見て年を越す、ってのが毎年のパターン。
でも今年はユキ君がいるので、いつもとちょっと違う。

ユキ君は朝早くから生コン工場へ。工場では毎年餅つきをするらしく、ユキ君もお手伝い。杵でついたお餅をわけてくれた。

「わぁ、お雑煮に入れて食べるね、ありがとう」

恋人と一緒に年越し、初詣。憧れていただけに、嬉しくて顔がゆるゆるしちゃう。

「嬉しそうだな」

「だって、ユキ君と一緒にいるんだもん」

ユキ君の腕に抱き着いた。
本当に、そう。ユキ君といるだけで、楽しい。

「舞、可愛いな」

ギューッと抱きしめられたら、もう冬の寒さなんて吹っ飛んじゃう。

「これで雪でも舞ってくれたら、雰囲気出るんだけど」

夜空を見上げた。冷たくて澄み切った空気に月も星も輝いている。雪が舞い降りてくることはなさそう。
ユキ君はにこっと笑って。

「ユキならここにいるだろ」

「ホントだ。しかもこのユキは、めちゃくちゃ温かいし」

「舞ちゃん、専用カイロと呼んでくれ」

二人で抱き合って、バカカップル丸出し。いいのだ、いいのだ、どうせこの神社に知り合いはいない。

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