クリスマスまで日が無いってのに、ユキ君が喜びそうなプレゼントが思い浮かばない。彼、なんでも持っているもんな。手作りのマフラーやセーターは喜びそうなんだけど、やったことないし、もし作ったとしても見栄えの悪い作品になりそうだし。ということで仕事帰り、プレゼントを探しにショッピングモールへ立ち寄った。
ネクタイ、ハンカチ、手袋、ジャージ、色々あり過ぎて迷う。うーん困った。本人の欲しい物をリサーチしておくべきだった。
雑貨店の店頭にキャンドルコーナーが設けられていて、目が止まった。クリスマスキャンドルか。
暗くした部屋に揺らめくキャンドルの炎。
「今夜の舞、いつもより綺麗に見えるな。なんでだろう」
「ユキ君と一緒にいるから、かな」
なーんちゃって。いやーん、恥ずかしいセリフも口に出来そう。
「うん、いい」
集る女子の中に割り込むと、意外な人が紛れていた。
「土方さん」
ギクッと肩を強張らせ、恐る恐る私を見下ろす。
「お、尾上さん。あっ、いや、別に俺はその、買うつもりじゃなくて、通り掛かっただけで」
かなり焦ってあたふたしている。えらいところ見られたって感じ。しかも部長が手にしているのは、丸いガラスホルダーにサンタのキャンドル。
「クリスマスはやらないって言ってませんでした?」
土方さんは気まずそうにキャンドルを戻し。
「聞こえてた?」
「聞かせたかった、とか」
土方さんは苦笑い、ポケットに手を突っ込んで。
「尾上さん、飯食った?」
「えっ」