恋の時間ですよ 第7章 フェティシズム

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翌日の日曜日、私は焦っていた。今日はユキ君のバスケの試合。暇だったらお母ちゃんに頼んで応援へ行こうと考えていたのに。

「トンちゃん焼きそばと、洋食焼きください」

「はーい」

「ビールもらうよ」

「はーい」

「いくら?おあいそして」

こんな日に限って忙しい。

「席、空いてる?」

「いらっしゃい、カウンターで良かったら」

「すじコン入り焼いて」

客足が途絶えない。

「豚玉とミックス、お持ち帰りでお願いします」

「はい、少しお時間掛かりますけど」

「大丈夫、待つわ」

いやーん、忙し過ぎるーっ。心の中で嬉しいような悲しいような悲鳴を上げる私。ひたすら鉄板と向き合い、お好み、焼きそばをジュージュー焼く。

「ありがとうございましたー」

「おおきに」

最後のお客さんを見送った後、暖簾を取り外し店内へ入れた。

「今日、どこかでイベントでもやってたのかな」

「ほんとだね。さて、店も終わったことだし」

お母ちゃんは着けていたエプロンを外し。

「ストレス発散しに行ってくるわ。舞、後片付け宜しくね」

「えっ」

いそいそと店を出て行ってしまった。

「もうっ」

しかたなく時計を気にしながらも後片付け。うわーん、ユキ君の試合、終わっちゃうよ。

テーブルのお皿を運んでいると、カラカラッ、ガラス引き戸の開く音がした。

「すみません、もう閉店・・・」

「よぉ、しけた面してんな」

「お兄ちゃん」

近くのマンションに住む、兄だった。

「お母ちゃんならパチンコ行って、いないよ」

「知ってる」

そう言ってジャンパーを脱ぎ、トレーナーの袖を捲るとカウンターの中へ入って行く。私はそれをぼけーっと見ていた。どうしたんだろう。

「ここに立つのも久しぶりだな」

「お兄ちゃん?」

「来週末の話、聞いてるか」

私は首を横に振った。

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