呼びだし音が流れている。寝ているのかな?もう切ろうか、でも頼まれちゃったし、あれこれ考えていると。
『はい』
怠そうな声が聞こえた。
「もしかして、寝てた?起こしちゃってごめん」
『いいよ、それより何かあったのか』
「えっと・・・・熱出したって聞いたから。大丈夫?」
『ああ、もう下がった。何?もしかして心配して電話をくれたとか?まだ怒ってんのかと思ってたけど』
もしかして、鼻で笑った?
「お、怒っているよ」
「かんでんぞ」
からかう声も明るい感じがした。
「う、煩いな。私は真理さんに伝言を頼まれたから」
『真理に?何で真理がお前に』
あれ、声色が変わった?なんか不機嫌になってる?
「俺からの見舞いだ、感謝しろ、って。意味分かる?」
『・・・』
無言は、やめて欲しい。電話なんだから様子が分からない。
「ユキ君?聞いてる?」
『ああ』
「じゃあ伝えたから、もう切るね」
『ああ、ありがとう』
真理さんが何を伝えたかったのか。
結局よく分からないまま、電話を切った。
でも・・・。
どうしたんだろう。
触れていないのに。
声を聞いただけなのに、胸がドキドキしてるよ。