恋の時間ですよ 第3章 気になる存在

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通路を挟んだ向こう側には会議室とパーテーションで仕切られただけの個室がある。その一番手前の個室へ制服姿の女性が入って行った。

「お客様でしょうか」

「銀行の外交員よ。あそこで11時から1時半まで窓口業務しているの」

会社の中に銀行窓口があるなんてすごいなと思ったが、経理以外にも人事部やこのビルの中に事務所を置くグループ会社も利用していると聞き、納得。

業務の大まかな説明を受けた後は、メール、会計システム、社員精算システムと、ノートパソコンに色々な初期設定が必要で、それだけで午前中いっぱい掛かってしまった。設定を終え、ほっとしていると、内線の呼び出し音が聞こえた。三島さんが受話器を手にする。

「もうそんな時間?分かった、すぐ上がる。あ、そうだ。今日入社した子も連れて行くから、席取っといて」

食堂は15階。何を食べようか迷っていた私に三島さんが「チキン南蛮定食はお勧めよ」と言う。なので三島さんと一緒に定食の列へ並ぶことにした。甘酸っぱい香りとたっぷり掛かったタルタルソース、うーん美味しそう。

三島さんはトレーを手にキョロキョロ。

「林さん、どこに・・・。あ、いたいた」

三島さんの肩越しから見える窓際の席に、ベリーショートヘアの女性が座っていて、こちらに向かって手を振っていた。

 

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