恋の時間ですよ 第3章 気になる存在

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結城産業の社長には三人の息子がいる。長男の真理さん。次男の薫さん。そして三男のユキ君。ユキは愛称で本当の名前は由紀(ヨシノリ)。

「ユキ君を落として結城家の一員になろうと、皆必死なのよ」

「どうしてですか」

「結婚したら玉の輿だもん。それに真理さんとも親しくなれるし」

「それが狙いなんですか」

三島さんたちの話を聞いて、ユキ君が気の毒に思えた。でもだからって、誤解はされたくない。ユキ君には悪いが「私は彼女じゃありません」とあの場でハッキリ宣言した。だって怖いお姉さま方に睨まれたくないもん。

「触らぬ神に祟りなし」

近寄らないのが一番だ。それに私の目的は、結婚相手を探すこと。
理想のタイプは・・・。

真理さんが、頭にぽんと浮かぶ。私は首を横に振った。

「理想的だけど、結婚しているからダメ。見ているだけで十分」

次に浮かんだのは、何故かユキ君。

「違う、あんたじゃない」

パタパタ頭の上で手を振り、ユキ君をかき消した。もっと理想的な男性がいるはずだ。例えば・・・・土方さんとか。
土方さん、いいじゃない。独身だって聞いたし、顔も良いし、おまけに部長だ。

「土方さん、理想的だよね」

同じフロアで上司ともなれば、これからいくらだってチャンスがあるはず。最初のチャンスは、歓迎会かな。隣に座って一緒にお酒飲んで・・・・。尾上、俺と二人っきりになれるところ行かないか。なんて誘われたらどうしよう。

「キャーッ、恥ずかしい」

「何が恥ずかしいのよ。パンツに穴でも空いていた?」

お母ちゃんの声にハッとした。手に持っているのは、私のパンツ。そうだ、洗濯物たたんでいたんだった。

「穴の空いたパンツなんて履いてないからっ」

ムッとしながらパンツを小さく折りたたむ。このパンツ、面接の時に履いていた・・・・。そう思ったら、またもやユキ君の顔がチラつく。ああ、もう消えて消えて。理想の相手は土方部長なんだから。

私は、顔を上げた。

「お母ちゃん。週末遅くなる。ご飯もいらないから。会社の人が私の歓迎会してくれるの」

 

第4章へ続く

 

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