恋の時間ですよ 第1章 就職しました

小説
Pocket

商談フロアーに到着してすぐトイレへ駆け込んだ。

ううっ、恋人でもない男にパンツ見られた。こんなかっこうじゃ、恥ずかしくて人前に出られないよ。

「終わった、面接受ける前に落ちた」

会社の前へタクシー呼んで帰ろう。トイレから出た私はカバンからスマホを取り出した。

「なぁ」

イケメン、まだいたの?そんなことより。

「ああ・・・。絶対、お母ちゃんにアホにされる」

「なぁって」

「せっかく会社員になるチャンスだったのに・・・ううっ」

「おいっ」

「煩いなぁ。私は落ち込んでるの、見て分からない?いいからあっち行って」

邪魔しないでよ。シャーッと興奮した猫のように威嚇。

「面接受けないのか」

「このかっこうで?約束の時間も過ぎてるし」

「前だけ見せてりゃバレないって」

イケメンは私からスマホを取り上げた。

「何すんの」

「連絡先の交換」

戻ってきたスマホを見ると見知らぬ連絡先が追加されている。

『ユキ』この人、ユキって名前なの?

そして今度は私の手首を掴んだかと思ったら、どこかへ引っ張って行こうとする。

「ちょっと、待って。どこへ行くのよ」

引きずられるように歩くと、エレベーターホールの前。

「ユキ、こんなところで何やってんだ」

これまたイケメンが登場。この会社は顔で選ぶのか?

「土方さんこそ、どうしたんですか」

「今から面接なんだよ」

イケメンは私の両肩に腕をかけ、私を押し出した。

「ちょうど良かった。面接するの彼女です」

土方部長の視線が私に向けられる。切れ長の鋭い目つきがちょっと怖い。ハッとした私は頭を下げ、挨拶。

「お、尾上舞です。宜しくお願いします」

「ついてきて」

ここまで来てしまったら、もう引き返せない。

黒いバックでヒップを隠しながら、足早に歩く土方部長に着いて行った。

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村